アメリカ映画は小説がお好き?


アメリカ映画は小説がお好き?

文学は私たちの心の様子や人生、あるいは社会なり時代の流れを繊細に、また豊かに語りながら大衆に娯楽としての気晴らしや夢を与えてきました。

だから世界の映画産業の中心地、ハリウッドにとって小説や戯曲と言った文学作品は格好の”獲物”だったし、今でもそれは変わりありません。
ことにベストセラーに顔を覗かせる人気小説や、多くの観客を動員する舞台劇は、最も安心できる、そして金銭的成功を約束してくれる魅力的な素材なのです。

新しい作品が世に出るたびにそれらの映画化権についての可能性が真剣に検討されたり、なかには小説が出版される前から映画会社が大金を積んで権利を購入するのは、それがためです。

それは今日の大衆にとって馴染みの薄い古典的名作にあっても例外ではありません。

シネマ英語コラム

つぶやいてます。

シネマ英語の基礎知識から、為になる話、ウラ話。うーん、なんだか映画館に行きたくなってきました。

公式アカウント
@cinemaeigo では、シネマ英語の決めゼリフをどんどんつぶやいています。フォローミー!

イギリスの大文豪シェークスピア
(William Shakespeare, 1564-1616)の戯曲やマーク・トゥエイン(Mark Twain, 1835-1910)、あるいはホーソーン(Nathaniel Hawthorne, 1804-64)など、アメリカの古典文学を象徴する作家たちの小説が繰り返し映画化されていることからも、その事実がうかがえるでしょう。

半世紀前であれば、「緋文字」The Scarlet Letter (1850) と聞くと、誰もが小さな文字がギッシリ詰まった一冊の小説を頭に思い浮かべたことでしょうが、今日の人々にとっては、それはスクリーンに映し出された揺らめく映像でしかありません。かつて、ハリウッドで制作された映画を調査したアメリカの研究者ハリー・ゲダルドは、その40%近くが文学作品の映画化だと指摘していますし、モリス・ベジャはアカデミー作品賞に輝いた映画のおよそ75%が文学作品に基づいている、と述べています。

実際「オズの魔法使い」(The Wizard of Oz, 1939)、「風と共に去りぬ」(Gone With the Wind, 1939)、「カサブランカ」(Casablanca, 1942)、「マイ・フェア・レディ」(My Fair Lady, 1964)、「ゴッドファーザー」(The Godfather, 1972)など、名作として今でも人気のある古い映画の多くは小説や戯曲がベースになっています。

また、「スタンド・バイ・ミー」(Stand by Me, 1986)、「ショーシャンクの空に」(The Shawshank Redemption, 1994)、「グリーンマイル」(The Green Mile, 1999)、「インソムニア」(Insomnia, 2002)などで知られる今日の作家スティーブン・キング(Stephen King, 1947- )や「ザ・ファーム/法律事務所」(The Firm, 1993)、「ペリカン文書」(The Pelican Brief, 1993)、「依頼人」(The Client, 1994)などで知られるジョン・グリシャム(John Grisham, 1955- )、あるいは「パトリオット・ゲーム」(Patriot Games, 1992)、「今そこにある危機」(Clear And Present Danger, 1994)などで知られるトム・クランシー(Tom Clancy, 1947- )などは、小説を執筆するたびに、映画会社による映画化権の争奪戦が激しく繰り広げられているのです。

過去1世紀以上にわたって大衆の厳しい目にさらされながらも発達し、洗練されてきた映画という叙述文学は、21世紀においてもしばらくは娯楽の王座に君臨しつづけると同時に、完成された記録芸術として大衆に大きな影響を持ち続けることでしょう。

 

 

TOPへ
心癒されるセリフ集 / 元気が出る言葉たち
愛は限りなく、そして… / 人生とは?生きるとは?

コラム / 収録作品一覧 / このサイトについて